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あいち田舎暮らし応援団

あいちの山里暮らし人だより

~Michi~

Vol.49

旅とカレー、そして地域へ

中島さんが見つけた「生き方」のかたち

 

 

旅から始まった人生の選択

愛知県半田市で生まれた中島成人さんは、関東で育ち、大学卒業後は東京の映像制作会社で働いていた。

日本大学芸術学部で映像制作を学び、CM制作の現場で忙しい日々を送っていたという。

当時の生活は、昼夜を問わず働くような環境だった。

 

「社会に出た頃はバブルの時代でした。業界はとにかく忙しくて、24時間働くような生活でした。でもそれが当たり前の空気でもあったんです」

 

そんな中でも、中島さんの心を引きつけていたのは「旅」であった。

 

「中学2年の時に、湘南から豊橋まで2泊3日で自転車で行ったんです。ユースホステルを調べて、公衆電話で予約して。あれが最初の旅でした」

 

その経験から、「どこへでも行ける」という感覚が生まれたという。

やがて海外にも旅を広げ、オーストラリアやインド、ネパールなどを訪れた。

 

「インドやネパールでは、泊まった宿の台所で料理を教えてもらったりしました。そこでカレーの作り方を覚えたんです」

 

この体験が、後の人生を大きく変えることになる。

 

 

カフェから始まったカレーの道

 

38歳のとき、中島さんの人生は大きく方向を変える。

母親の体調が悪化したことをきっかけに、東京での生活を離れることになったのだ。

 

「母が人工透析をしなければいけなくなって、東京の生活を全部やめて静岡に戻りました」

 

仕事を辞め、しばらくは貯金を切り崩して生活していた。

そんな中、知人から「セルフビルドでカフェをやろう」という誘いを受けた。

 

「カフェをやろうという話になったんです。でもこの辺りにはカレーがなかった。じゃあカレーを出してみようか、という流れでした」

 

最初はチキンマサラ、キーマカレー、もう一種類の三つだけのシンプルなメニューだった。

評判は徐々に広がり、豊橋や浜松からも客が訪れるようになる。

 

「気がついたらカレー屋になっていました。最初はカフェのつもりだったんですけどね」

 

やがてカレー専門店として独立し、浜松で18年間店を続けた。

 

自分のペースで働く店へ

 

長く続けた店は33席ほどの規模で、スタッフも雇う大きな店になっていた。 しかし60歳を前にして、中島さんは新しい決断をする。

「このまま倒れたら、いろんな人に迷惑がかかると思ったんです」

 

そこで、もっと小さく、ひとりで運営できる店にしようと考えた。

家賃や固定費を抑え、自分のペースで働ける店を目指したのである。

移住先を探す際に決めていた条件が一つあった。

 

「温泉のある町に住みたいと思っていたんです」

 

温泉があり、自然があり、地域のコミュニティが元気な場所。

そうして辿り着いたのが東栄町である。

 

「なんとなく思っていたことが、全部叶ってしまった感じですね」

 

今は自宅から歩いて温泉に行ける生活だという。

 

 

カレーは毎日食べられる料理

 

中島さんの店のカレーは、重たくない味わいが特徴だ。

毎日でも食べられるカレーを目指している。

 

「バターや油をたくさん使うと確かに美味しいんですが、飽きてしまうんです。僕のカレーはもたれない。夜でも食べられるような感じですね」

スパイスは注文ごとに調整し、辛さも個別に変えている。 そのため提供には少し時間がかかるが、香りが一番よい状態で出せるという。

 

「スパイスは新鮮なうちに食べてもらうのが一番なんです」

 

こうした手間をすべて一人で行っている。

 

 

旅人として生きる感覚

 

中島さんは、自分を「旅人」だと語る。

 

「この世の中には、旅人と非旅人しかいないと思うんです」

 

観光として旅をする人もいるが、旅が生活になる人もいるという。

 

「旅が生活になると、家に帰るという感覚が薄くなるんですよ。最低でも一ヶ月、できれば一季節くらいどこかに行きたいと思っています」

 

ただ今は店があるため、長い旅には出られていない。

それでも、いつかまた旅に出たいと考えている。

 

 

100年先を考える場所

 

店には薪ストーブやペレットストーブも置かれている。 木質燃料の利用にも関心があるという。

木材を燃料として循環させる仕組みがあれば、地域の資源を活かした暮らしができる。 そうした未来を思い描いている。

また、この店を単なる飲食店ではなく、人が語り合う場所にしたいとも考えている。

 

「カウンターで話をして、100年先の社会のことを考える。そんな場所になったらいいと思っています」

 

 

生涯現役という目標

 

中島さんには、明確な目標がある。

 

「ここを死に場所にしようと思っています。生涯現役です」

 

年齢を重ねれば働き方は変わるかもしれない。 それでも、できる形でカレーを作り続けたいという。

 

「一人でも多くの人に、美味しいカレーを食べてもらえればいい。それが僕の人生です」

 

カレーを作りながら、人と語り、地域と関わり、未来を考える。 中島さんの店は、そんな時間が流れる場所になっている。

店名は「マナ」。

どんな意味が込められているのか、中島さんにきいてみてほしい。

 

 

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インタビュー・執筆:佐治 真紀  撮影:中島かおる

Information

印度カレーmana toei

TEL:0536-76-0300

URL:https://www.instagram.com/nobbynakajimana/

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