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あいち田舎暮らし応援団

あいちの山里暮らし人だより

~Michi~

Vol.20

会社員・袋さんは、なぜ7年もの間、週末に街から田舎へ通い続けるのか?

サラリーマンである彼は、休日になると豊田市惣田町の森へやって来る。2人が出会って9年。かつて暗かった森には、今は光が差し込むようになった。

 

トヨタ自動車の従業員である、袋真司さん。サラリーマンである彼は、休日になると豊田市惣田町の森へやって来る。迎えるのは86歳の林業家、渡辺豁(ひろし)さん。2人が出会って9年。袋さんが2015年に間伐ボランティアチームを立ち上げ、それ以来東京ドーム一個分(約30,000㎡)の山林の手入れを続けてきた。かつて暗かった森には、今は光が差し込むようになった。  

山仕事のどこに惹かれて、袋さんは惣田に通い続けるのか。その理由を探ってみた。

 

 

出会いは「豊森なりわい塾」

 

「あの頃は袋さんの髪も、黒かったもんねぇ」。アルバムの写真を見ながら、渡辺さんが笑う。つられて袋さんも笑う。2人はもうすぐ、出会って10年を迎える。86歳と50歳。およそ親子ほど年の離れた、田舎の年長者と街のサラリーマン。絆を感じるその姿の始まりは、「豊森なりわい塾」だった。

 

 

豊森なりわい塾とは、豊田市山村地域で「歩く・見る・聞く」ことを通して地域を知り、地域に学び、これからの生き方・働き方・社会について考える講座。塾生は、月に一度、土・日曜日の2日間、年8~10回の講座で、世界の経済・環境・エネルギー・食糧問題などの広い視点を得ると同時に、山村地域で脈々と受け継がれてきた伝統や知恵を学び、森林や農業の課題などを考える。

 

 

2013年、袋さんが受講した年の受け入れ地域が、豊田市旭地区惣田町。その地域で受け入れの代表の役目を担っていたのが、渡辺さんだった。

 

 

「はじめは、素人に毛が生えたような人たちがやってきて、何ができるんだと思ったよ。でも今じゃ袋さんは、惣田になくてはならない人だ。あの時の出会いがこんな風に続くなんて、思ってもみなかったなぁ」

 

サラリーマンでは消えなかったモヤモヤ感

 

袋さんは、富山県の出身。自動車の仕事がしたくて、トヨタ自動車に就職した。高卒での就職だったが、ちょうどバブル全盛期で、トヨタ自動車も高卒採用がある時代だった。「車のエンジンの開発の仕事がしたい」、そんな夢を抱いて愛知県にやってきた袋さん。しかし現実に与えられた仕事は違っていた。「生産技術という部署で、車を生産するための工場や設備を作るのが、僕の仕事でした。いろいろ勉強させてもらえ、仕事は楽しかったですよ。でも、もともとやりたかったこととは違うなというモヤモヤは残りました」

 

 

 

そんな日々を過ごす若い袋さんのもとに、ひとつのチャンスが訪れる。社内ベンチャーを立ち上げられるようになったのだ。袋さんは先輩と2人でカーナビアプリを作る企業を立ち上げた。29歳から6年間を、東京のその会社で過ごし軌道に乗せてから、再び今の職場に戻った。

「自分達で一から取り組んだからこそ、感じられたこと、考えられたことがありました。経営のためにどうやって資金を得ていくんだとか、そもそも仕事って何だろう?働くってなんだろう?とか。社内といえども自分達で起業した経験は自信になりましたし、自分はそういうことが好きなんだということも分かりました」

 

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