お問合わせ
あいち田舎暮らし応援団

あいちの山里暮らし人だより

~Michi~

Vol.1

暮らすために生きています

東栄町との出会いは、友人のひと言

愛知県と静岡県の県境にある人口3,000人ほどの町、東栄町。築150年の古民家で平成27年から【東栄町体験型ゲストハウスだのん】を運営する金城 愛さんにお話を伺いました。

 

ゲストハウス・・・ホテルや旅館と異なり、相部屋があったり、バス・トイレが共用で素泊まりが基本。共有リビングやキッチンがあり、旅行者同士の交流が生まれやすい雰囲気を持つ宿泊形態。

「だのん」は、「東栄町体験型」と銘打っていることもあり、ゲストハウスの中だけの交流に留まらず、宿を飛び出して、地域の方との交流を大切にされていらっしゃるとのことです。どんな時間を過ごすことが出来るのか、楽しみにやってきました。

オーナーの金城 愛さんは、平成24年、愛知県の主催する「80日間チャレンジ」事業に応募し、採択され東栄町にやってきました。そのきっかけは、なんとふと耳にした、友人のひと言だったそう。中山間地域でゲストハウスのオーナーをしている、と聞くと、田舎暮らしにあこがれて、探しに探してここにたどり着いたのかと思えば、実はそうではないらしい。

 

80日間チャレンジ・・・2012年に愛知県にて実施された、三河の山里[豊田市、新城市、設楽町、東栄町、豊根村]にチャレンジスタッフを配置し、実際にその地域で生活をしながら山里の暮らしの情報を発信することにより、三河の山里の観光PRや交流・移住の促進を図る事業。

沖縄県出身の金城さんは、地元の工業高校のデザイン科出身。3年間でデザインにまつわる一通りを学んで、その先の進路を考えた時、今度は、人の顔をキャンパスにしてみたいとメイクの勉強を始めたそうです。沖縄のデパートに就職するも、化粧品売り場に配属されず。次こそはと、免税店に就職し、やっと化粧品売り場で働くことになったそうです。 楽しかったです。思っていた感じでした。その化粧品ブランドに出会えたのは面白かった。

 

外の世界を見てみたい!県外そして海外へ

 

働きたかった美容の世界を満喫し、遊びたい分働けばいい考えと掛け持ちで働く先で、出会った素敵な先輩の「ピースボート」のひと言が金城さんの心に響いたそうです。初めて世界という選択肢が金城さんの前に現れました。世界を見てみたい!その為にはもっとお金を貯める必要があると考えた金城さんは、地元沖縄を出て働く決心をしました。次に向かった先は、三重県。工場の期間工として就職し、2年半しっかりお金を貯める生活をされたそうです。  機械、無気質なものと向き合うことは私には向いてないとわかりました。その反動で接客業がいいなと。期間工の2年半が終わった後に、もうちょっとお金貯めたい、と三重県で3,4年、ファミレスと結婚式場を掛け持ちで働きました。その間に自分も年を重ねていっていろいろ考えました。 目標に向かってがむしゃらに働く中で、あこがれていた世界への見方も少しずつ変化し、自分に合ったスタイルで出かけよう、と、船ではなく陸路で、ヨーロッパを幼馴染と旅することに。4か月間、ヨーロッパ、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア、トルコ、を巡りました。帰国のきっかけは、幼馴染のお金が尽きたから(笑)。帰国して、一旦、三重県の四日市市に戻りました。その後、友人のふと漏らしたひと言。

 

東栄町との出会いは、友人のひと言

 

憧れた世界を自分の目で見た金城さん。世界を旅し、新しい視点で自分の生活を見つめなおした時、違った気持ちで日本を見てみたくなった。次の仕事を探す中、友人のひと言がきっかけで愛知県の事業「80日間チャレンジ」事業を知ることになりました。  意外に自分の住んでいる国のこと知らないと思ったし、もっと足元を見れるようなことをしたい、という思いもあって受けました。それが、ねえさん(東栄町役場 地域支援課 尾崎さん)達との初めての出会いです。面接で「仕事内容は?」ってお聞きしたら、「それを一緒に考えていくことが仕事です」と。それから東栄町に住み始めました。

 

 

役場の職員を「ねえさん」と呼ぶほど、頼りにし慕っている様子が伝わってきます。東栄町の様々な取り組みに参加して、町民と親しくなると、次第に皆さんの普段の暮らしぶりが見えてきたそうです。  田舎暮らし楽しい!鮎釣り、おもしろい!。田舎の人たち、自分たちの暮らしを自分たちで作ってると思いました。シンプルな気持ちでした。また来年も花祭り来たいな。もっとあの人と話してみたかったな、とか。そういう気持ちで80日間は終わったんです。

 

【80日間チャレンジ】を終えても東栄町にいたい

 

80日間チャレンジ事業が終了した後、東栄町で地域おこし協力隊の制度を導入すると聞いて、協力隊になろうかと、ねえさん(前出)に相談しました。そしたら、ねえさんに「生半可な気持ちでやらんでね」と突き放されて、ハッとなりました。80日間チャレンジは、みなさんからちやほやされたりもする。でも協力隊って町民になるわけです。やりたいなって思いエントリーしたらまたご縁をいただきました。でも、その時も地域をおこしたい、という気持ちでなく、単純に東栄町にいたいっていう理由だったんです。 面白そうな仕事があるという理由でやってきた東栄町。来てみて暮らしてみたら、町民の皆さんの暮らしぶりに、それまでのご自分の生活とのギャップに驚かれたそう。事業終了時、役場の職員の自分たちの町を大切に想う気持ちがゆえの言葉が、金城さんの何かに響いた。

 

相談に乗ってくれる人がいる

 

 協力隊も楽しい2年間でした。一年目で一町民になっていろいろな住民の方にお会いする中で、ここの(体験型ゲストハウスdanon)の大家さんに出会い、「この空き家、何かできんか?」という話が出ました。その時期ゲストハウスに通い始めていて、「ゲストハウスやってみてもいいかも?」と思ったんです。 ゲストハウスという宿泊スタイルを知り、自分でも体験する中で、東栄町でこのスタイルを導入すれば、地域の方と、来訪者を繋ぐ手段になり得るのではと考え一念発起。  協力隊の活動報告した時に、「来年から農家民宿みたいな、ゲストハウスやろうとおもいます。」と発表したのを覚えています。二年目は、それに向けてのブラッシュアップ。立ち上げまでの準備期間の二年目になりました。 住んでみて暮らしてみたからこそ、気づいた東栄町の魅力。それは人の魅力でもあり、人々の暮らし方の魅力でもあった。その魅力を伝えるにはどうしたらいいか?どんな方法がいいのか?考えているうちに、ふと気が付いたら、「ゲストハウス」という選択肢が目の前にあった。金城さんが暮らしてみて感じたように、次の誰かにも、この気持ちを味わってほしい、と思った時に浮かんだ選択は、幼い頃の原風景の中にヒントがあったのかもしれない。 幼い頃はどんなお子さんでしたか?  怒られたりして悲しくても泣くし、寂しかったり不安になったりしても泣くし、超繊細でした。姉と妹がいます。仲いいですよ。姉とは9つ違い。妹は3つ下です。 小学生の時はあんまり積極的な子どもではなかったかな。でも協調性はあったかも。いじめられてる子とも普通に話すし、いじめてる子とも普通に話すみたいな感じ。大人になってから、その時の子から手紙が来たことがありました。あの時嬉しかったよ、と。そういうの気にしない派だったかな。

 

世界を見てきた。そして、ふと自分の国を知りたくなった

 

 田舎暮らししたいと思って受けたわけではなくて、80日間で終わるし、そのあとは仕事探そうっていうノリだったんです。今住んでいる家に住んで、東栄町の方たちの活動に参加させてもらったりいろいろ動いたんです。

 

触れてみないとわからない東栄町の良さを伝えたい

 

個人で開業して5年目の今

 

 やってよかったと思っています。いや、思い描いて描いていた以上かな。ゆるゆるやれればいいかなと思ってました。一人じゃできないって思った時に、仲間とか従業員とか必要かなと思ったけど、でも、自分の方向性も定まってないし、ま、とりあえず走ってみるかという感じで始めてみたら、それに似合う仲間たちがどんどん増えてきた。結局、私一人でできることは、そんなになくて。だから、私に足りないとこを、関わってくれる仲間が補ってくれたり、ゲストさん同士の交流とか化学反応がたくさん起こったりしてます。そういう予想外の人の広がりや絆、温かい支えに驚いてます。 自らも、出会った方の言葉に刺激を受けてきたように、だのんでの時間や出会いが、訪れる人たちにとって、良い影響を与えているようだ。  

 

家族ができた

 

 にっしー(夫)は、だのんの立ち上げの時に手伝ってくれて、知り合いました。にっしーは新城市の出身です。

 

 

東栄町に来て世界観が変わった

 

東栄町出身でない二人が東栄町に住む

 

 そうですね。生まれ育った場所とは全然違います。私は那覇に住んでいたので、都会でしたね。 話がずれますが、三重県でも仕事をしてたので、多少の愛着があるんです。ある時、奥三河のメンバーを三重県に連れて行ったことがあるんです。いい所だよ、と車で案内しながらいろいろなお店の説明したりして。その時、話しながら「なんか私、めっちゃ生活変わったな」って。 私、今、休みの日何してるかと言えば、カフェとかじゃなくて、春だったらタケノコ掘ってたり、夏だったら川に入ってる。時間の使い方も、暮らし方もめっちゃ変わったと思いました。 今は、暮らすために生きてるかんじかな。以前は、働いて稼いだもので、モノを買って、それを消費して、また働いて、という世界観だった。それが当たり前だと思っていたし、普通だと思っていたから別に何の違和感もなくて。けど、もう逆にこういうとこに住んで、自分たちで暮らしていけるように毎日やっているので、都会に行くと疲れちゃうんです。

 

 


 

だのんのとある一日(春) 夕刻:ゲストさん到着 東栄温泉をご案内 旅の疲れを落としてもらいます 夕食:近所のおじちゃんのお山で採らせてもらったタケノコをメインに、お庭で一緒にBBQ 満天の星空が、お庭に居ながらにして楽しめます 翌朝:お好きな時間に起床      布団の片づけは各自でね ・敷地内にある川辺でサ道 (移動式サウナのことね) ・タケノコを掘りに行きたいチームは、近所のおじちゃんのお山にご案内するね ・のんびり川辺で芹を摘む   などなど・・・  どんな時間を過ごしたいのか、その時のあなた次第!

 


 

取材に訪れた時は、金城さんご夫妻のほかに、役場の職員さんも顔を出してくださったり、「居候くん」と呼ばれる方も同席してくださったり、賑やかな食卓でした。「居候くん」Aが腕を振るってくれたなめろうは絶品でした。「居候くん」Bはだのんを拠点に仕事をしていて、長期出張に出かける時は、みんなで駅まで送って行ったりと、本当の家族のよう。他にも、ここ数年、長期休暇になると決まって一週間単位で訪れるカメラマンがいたり、リピーターが定着するなど、着実にゲストハウスとして地域と来訪者を繋ぐ役割が根付きつつある様子をお聞きしました。 実は、ゲストハウスとしてスタートしただのんは、訪れる方のニーズをキャッチし、別棟でシェアハウスの運営もはじめたそう。ここに来て、暮らすように遊んでみて、もっとここにいたい、と思う人が増えてきた結果でもある。 遠くから東栄町にやってきた人や、地元の仲間の拠り所となり、ここで生まれた偶然の出会いが、新しい流れを生み出し始めている。地域の皆さんの応援を受け、スタートしたゲストハウスは、この東栄町の「これからの要」の役割を担いつつある。 「暮らすように遊ぶ」。常々、金城さんが口にされている言葉に、だのんのすべてが詰まっています。 ぜひ一度、初めてなのにホッとする、【東栄町体験型ゲストハウスだのん】を訪れてみてください。

 

Information

だのん

だのん

〒449-0214 愛知県北設楽郡東栄町本郷下前畑6-1

TEL:0536-76-1860 

URL:https://danon-toei.com/

体験型ゲストハウスですので、ご飯は共同調理、シェアご飯が基本です、その日のゲストとふらっと訪れる地元の人やスタッフも皆で一緒に食卓を囲み、地域の旬の食材を使ってご飯を一緒に作ります。

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